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高次脳機能障害と住宅改修 (3)

ケアマネから高次脳機能障害の方の住宅改修の依頼があった。

 

たまにある症例で住宅改修をすることがある。しかし人によって違いがある。

 

さっそく対象者宅を訪問した。既存住宅地、鉄筋コンクリート造、築10年、集合住宅。

 

 

 

対象者は高次脳機能障害で車いす生活だった。車いすで足こぎもできる。見守りではあるが

 

歩行器で数歩の歩行ができる。対象者は高次脳機能障害になるきっかけは一年前にある日、

 

飲酒後階段で転倒してけがを負った。この時、両側前頭葉の脳挫傷、急性硬膜下血腫に

 

なった。しばらくは意識もなく、人工呼吸器を装着していたとのこと。入院中に肺炎も

 

起こし気管切開もした。意識を取り戻した後も体調の起伏があった。しかし、献身的な

 

家族の介護や対象者の懸命のリハビリもあり、帰宅することになった。

 

帰宅後も通所リハビリと訪問リハビリに励んでいた。

 

今は日常生活動作の範囲が少し広くなり、介助は必要だが移乗や移動が可能になった。

 

訪問時は体調がすぐれず、動作確認はできなかった。しかし、家族に話を聞いて

 

出来ること出来ないことを確認し、要望を聞いた。

 

 

 

室内は最近できた集合住宅のため、床には段差がない作りになっている。

 

車いす生活でも足こぎができるとトイレで洗面所でも問題なくアクセスできる。ただ、扉の

 

開閉が問題になることもある。幸い、対象者宅ではとびらは大きな問題にはならなかった。

 

玄関周辺と廊下とトイレの手すり設置が当面の要望事項だった。

 

室内だけでも車いすでない状態で歩けるようにしてもらいたいとの家族の希望もあった。

 

この家族の希望は病院で意識不明中から続く話だった。毎日のように病院通いして、

 

声かけや励ましをしていた。少しずつ回復するにつれて、一層の献身的な介護が始まった。

 

今回もその一環で手すりを付けることになった。

 

手すりそのものも一般的な木製の手すりにすることなく、手すりに見えないような壁と

 

同じ色の白いタイプのものにした。

 

この計画で見積を提出し、施工した。