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障害者と住宅改修

ケースワ-カーから障害者の方の住宅改修の依頼があった。

 

障害者と言ってもかなり幅が広い、施設の学園に行けていない方の住宅改修とのこと。

 

よく分からないので、さっそく対象者宅を訪問した。

 

既存住宅地、木造平屋、築50年、一般住宅。

 

 

 

対象者は生まれつき精神的に障害があり、今日まで自宅から施設の学園に通学していた。

 

障害の内容は深く聞かなかった。現状はどうなっているか、これからどうするかを聞いた。

 

対象者は一か月ほど学園に行っていない。「行きたくない」の強い拒否がある。

 

この一か月ほどでほとんど動けなくなっている。時々、近くにあるものにつかまって

 

歩くこともあるが、膝を付いてはって歩く状態。調子が悪い時は手がぶるぶる震えてモノを

 

持てないこともある。食欲は一時落ちたが元に戻りつつある。それでも排せつは自分で行き、

 

入浴はその日の調子次第との事だった。すべて家族からの話だった。

 

家族から様子をうかがったので、出来ること出来ないことを確認し、要望を聞いた。

 

 

 

対象者の寝室から縁側を通ってトイレがある。縁側は掃き出し窓でガラスがあるため

 

ふらついた時にガラスで頭を打って危なくないかとの事だった。対象者の現状の動きを

 

考えると建具下部の対策が必要だ。単なる手すりではなく、体がもたれかかっても被害が

 

少ない状態にすることが必要だった。掃き出し窓なのでふさぐように作るともともとの

 

機能がダメになる。ガラスにフィルムを張ることも考えたが、昔の窓ガラスで一個一個の

 

ガラスにフィルムを張るのは大変なことになる。対象者の身長を聞き、動きを細かく聞いた。

 

そこで手すりを3段にして、縦手すりも数か所付けることにした。

 

浴室に手すりを付けることになった。浴槽にいっぱいの湯を入れて入浴する習慣があり、

 

お湯が少ないとはいらない。そのためつかまるところが至る所にあることを希望した。

 

この計画で見積を提出し、施工した。

 

 

 

今回、対象者に会うことなしに家族からの話だけで施工に至った。

 

少しずつではあるが、学園に行くようになり、手すりもおっかなびっくりで使っていると

 

家族からの話だった。入浴は給湯器も交換したため、たっぷりのお湯だと入っているようだ。

 

 

 

特殊なケースではあったが何とか要望には応えられたようだった。