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認知症と住宅改修 (2)

ケアマネから認知症の方の住宅改修の依頼があった。

 

認知症の方と言われて対象者宅へ訪問した時、認知症の方は身体的には元気な人が多い。

 

今回どのような方か分からないけど、さっそく対象者宅を訪問した。

 

新興住宅地、木造2階建て、築30年、一般住宅。

 

 

 

対象者は認知症で物忘れ、被害妄想などがあるようだ。日常生活動作は自立していて、

 

歩行状態も比較的安定している。金銭管理は家族が行っている。また服薬管理ができず、

 

訪問看護を利用して経過観察しているようだ。日常的のゴミ出しもしている。散歩など外出

 

もしている。帰れなくなるようなことはないようだ。

 

独居ではあるが、近くに家族がいて一週間に数回訪問している。

 

この状態で出来ること出来ないことを確認し、要望を聞いた。

 

 

 

室内の要所には手すりが付いていた。玄関の外階段に問題があった。階段そのものは広く、

 

出入りには特に問題ない。しかし道路に接する部分が勾配のきついスロープになっていた。

 

ここで何度も転倒している。骨折や頭部の打撲等で救急搬送されたこともあるようだ。

 

このスロープをどうするか? 介助者がいる時、外出時には遠回りして勾配の緩いところ

 

から道路へ出るようにしている。また、認知症による危険認識の理解が困難になっていた。

 

そのため、今までの出入のルートは習慣化している。この習慣をなるべく変えない方法で

 

改修はできないかとの要望だった。道路からの高低差は50cm、その距離は120cm。

 

一般的にスロープにする場合は4mくらいの距離が理想的だが、3mでも何とかなる。

 

しかし、1mちょっとではかなり難しい。そこで、今回は普通に階段にすることにした。

 

スロープを撤去して階段にして、手すりを付けることで動線を作ることにした。

 

この計画で見積を提出し、施工した。

 

 

 

施工中、左官職人がいつもスロープを作るのに、「なぜ階段になるのか」何度も聞かれた。

 

 

 

 

 

改修前の写真

 

右側が公道、

公道と平らな部分の差は50cm

 

ここに階段を設置し、手すりを付けた。