ケアマネから先天性両股関節脱臼の方の住宅改修の依頼があった。
どのような歩き方をしているのか、さっそく対象者宅を訪問した。
既存住宅地、鉄筋コンクリート造2階建て、築50年、公営住宅。
対象者は先天性両股関節脱臼だった。ケアマネの話で、歩き方は目立った歩き方でなく、
多少足のつけねをかばうような歩き方らしい。話を聞くと股関節の問題もあるが、
最近胃がんが分かり、手術したことで、筋力低下があり、住宅改修が必要になった。
関節可動域制限がある。歩行は4点杖で歩行可能。病院の階段を杖で昇降可能。
それと軽い腰背部痛があるようだ。トイレは自分で問題なく行ける。入浴は介助が必要。
このような内容を病院のPTからも情報をもらい、住宅内を見ていった。対象者は独居。
築50年の公営住宅。トイレは小さい段差はあるものの手すりがあれば、利用可能。
浴室は脱衣と洗い場の床の段差が30cm、洗い場と浴槽のふちは66cmあった。
これではさすがに段差が大きすぎる。そこで洗い場にスノコを敷き、脱衣と洗い場の段差を
なくした。スノコを置くことで洗い場と浴槽のふちの差は33cmになる。対象者は身長が低いことを聞いていた。この段差が低くないか、後日PTに確認した。また浴槽内に入るのに浴槽床に踏台を置いた。これで要所に手すりも設置した。これで入浴は可能。
通院や買い物に行く時、勝手口から出ることが多い。その勝手口の段差が32cmあった。
PTからの報告で30cm以上は転倒の可能性があるとのこと。そこでコンクリート製の
踏台と屋外用手すりを併設した。
公営住宅は筋力低下の高齢者や障害者が暮らすには不自由な環境がよくある。
新築された公営住宅はバリアフリーに対応した住宅があるが、古い建物はなかなか難しい。
今後も高齢化は進むうえに、公営住宅を必要とする高齢者も増加することが予想される。
明らかにわかっているにもかかわらず、改善されることはないだろう!
勝手口の手すりと踏台