ケアマネからトイレをどうしていいかわからなくなり、住宅改修の依頼があった。
室内を車いすで移動して、食堂や洗面所への移動は可能だけど、トイレへの移動を
どうしていいかわからずに困り果てて連絡してきた。
さっそく対象者宅を訪問した。既存住宅地、木造2階建て、築60年、一般住宅。
対象者は車いす生活者。特に病名を聞くことなく、現状を聞いた。現在は自分の意思で体を
動かせることができない。意思伝達は問題ない。日常生活動作全般にわたり、介助が必要な
状態。介助は家族の協力があり何とか出来ている。トイレは現状ポータブルトイレを
利用していて、日中はトイレを利用して排泄したいとのこと。そこで、トイレ改修を
することになった。
現状のトイレは洋便器で、便器そのものは問題ない。しかしアプローチに問題があった。
廊下状の通路を1m位いったところにトイレの片開き扉がある。しかもトイレの開口幅が
有効60cmで狭い。便器が少々奥にあるため、移乗の際に介助する人がどこに立つかで、対象者の動きも変わってくる。またトイレ床の段差が7cm位上っている。小回りの利く
車いすなら何とかなるかなと思えた。
トイレの扉の手前までどのようにアプローチするか? 単純に手前の90cm位を
緩やかなスロープを設置して、トイレ前の床部分をフラットにすることにした。
たぶんこれで便器までかなり近くに行くことができる。しかし対象者の車いすは
中型の大きさで、フットレストやハンドルの部分が邪魔になることが予想された。
介護保険事前申請に時間がかかるため、その間に小回りの利くレンタルの車いすに
慣れてもらうことにした。
この対象者宅は出入に大工さんがいた。図面はこちらで作成し、その大工さんに作って
もらうことになった。実際施工することになり、現場に立ち会った。腕のいい大工さんで
あることを願った。スノコ状のスロ-プと高さ7cmのスノコを組み立てて運んできた。
現場で若干の高さ調整をして終わった。そのため、スロープと壁際の隙間は開いていた。
車輪が入り込むことはないけど、介助者が足を踏み入れたり、ごみが入り込んだり
するのではないかと指摘をしたが、聞く耳を持たなかった。大工さんが帰った後、
隙間に沈まないように緩衝材を詰めて、問題が少なくなるようにした。
この大工さんには二度とお願いすることはなかった。
出来上がりは綺麗なものだった。
小回りの利く車いすでアプローチはできた。