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扉(引戸)と透析と住宅改修

ケアマネから透析で歩行状態が不安定な方の住宅改修の依頼があった。

 

メインの工事は手すりを設置することになるだろうと思い、対象者宅を訪問した。

 

既存住宅地、木造2階建て、築40年、一般住宅。

 

 

 

対象者は週に数回、透析を受けながら生活している方だった。話を聞くと筋力低下があり、

 

歩くときにふらつきがあるとのこと。

 

さっそく対象者に動いてもらい、出来ること出来ないことを確認し、要望を聞いた。

 

 

 

動きを確認して、手すりが各所に必要なことも分かった。玄関外、玄関周辺、廊下、便所、

 

浴室、洗面脱衣などに手すりを計画した。 また、幸いこの家は片開きの扉が少なく、

 

引戸の多い住宅だった。しかしこの引戸に問題があった。どの引戸も重たくなっていた。

 

引戸をひっくり返し、滑車を確認した。築40年、滑車の劣化が原因だった。40年前の

 

プラスチック製滑車。割れているもの、変形しているもの、中心軸がずれているもの様々。

 

対象者宅の引戸は床から小さく盛り上がっている甲丸レールタイプで、レールそのものも

 

少々ゆがみがあった。ここ数年は引戸が重く、閉めない時もあったようだ。これらの引戸を

 

どうしていいか分からなくなっていたようだ。築40年となるとどの住宅でも、建具などの

 

引戸も片開き戸も経年劣化により変形することがある。

 

対象者宅はレールを後着けの薄いVレールタイプにして、滑車もプラスチック製のものに

 

交換した。浴室のアルミ製の扉の滑車ははめ込み式のステンレス製に交換した。

 

 

 

一般的に住宅の引戸の滑車はVレールと甲丸レールに対応したものがほとんどである。

 

たまに、吊り戸もある。滑車はプラスチック製、ステンレス製、鋼製などがある。

 

また滑車の径は30~45mmくらい。扉にガラスなどがはめ込まれていると重さも

 

関係してそれに対応した重量のものが必要になる。浴室のアルミ製引戸はガラスの重さが

 

あるため、扉重量が30kg対応のものにした

 

レールのタイプの違いは価格の差が大きい。甲丸レールの仕様は安く出来る。

 

甲丸レールの高さは約8mm。足で踏むと踏んだ感触がよく分かる。スリッパのつま先は

 

引っかかることがある。もう一つのVレールタイプはV型に溝があり、そこを滑る。

 

フローリングに埋め込むタイプのものや置き式レールのものなどがある。V-ルは

 

最近よく使われるが、掃除を怠っていると滑車にごみが絡まり、動きが悪くなることもある。

 

 

 

介護をするうえでは引戸にした方がいい場合が多い。

 

 

 

上側の滑車が割れている

 

滑車を止めるビスもない