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筋萎縮性側索硬化症(ALS)と住宅改修  (2)

ケアマネからALSの方の住宅改修の依頼があった。

 

久しぶりのALSの方の依頼だけど、住宅改修を依頼するということはまだ多少歩ける?

 

そう思いながら、さっそく対象者宅を訪問。新興住宅地、木造2階建て、築数年、一般住宅。

 

 

 

対象者は2年くらい前から身体の不自由さを感じていて、半年前にALSと診断された。

 

現状では階段は手すりを伝いながら多少は歩くことが出来る。しかし体調の

 

すぐれない時は登る気力すらなくなるらしい。トイレはドアノブを持つなどして何とか

 

出入りしている。入浴は扉の枠を持ったり、蛇口をつかんだりして何とか入る。しかし、

 

浴槽に入る時は足を上げるのがやっとの思いで入って出ている。1年前に玄関周辺では

 

転倒したこともあった。場所によって杖も使用している。今回動いてもらうことが

 

出来ないので家族から対象者の動きを説明してもらった。

 

 

 

そこで家族から現状で必要と思われる要望を聞いた。

 

玄関外階段、玄関周辺、廊下、トイレ、洗面脱衣、浴室の各所に手すりを付けてほしい。

 

付ける場所を確認し、長さを図り、計画を立てて、見積もりすることになった。

 

 

 

数日後、見積を持っていった時はほとんど動けないような状態になっていた。

 

初回訪問の翌日には四輪歩行器をレンタルで納入した。筋力低下があるため車輪付きの

 

歩行器は止ろうと思っても止ることができない。歩行器の方向転換も難しい。

 

後方へ転倒してしまった。

 

動くのがつらいらしく、ソファーに座るなり横になっているのがやっとのこと。

 

 

 

見積と同時に介護保険の手続きに時間がかかることも説明した。手続き中に症状が

 

進行しても数回でもいいから使いたい気持ちがあるなら手続きすることも説明した。

 

疾患の特殊性から設置はしたものの、つかうことがない場合があることも説明した。

 

見積持参時に対象者の話声が、家族しかわからないような声の質になっていた。

 

このような状態が進行していく上で意思伝達方法として「伝の心」があることも話もした。

 

 

 

一気に進行していったのかその段階に来たのか分からないけど、

 

この住宅改修は実施することはなかった。当然の流れだったと思う。