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老人性うつと住宅改修 (2)

ケアマネから老人性うつの方の住宅改修の依頼があった。

 

手すりが必要な方なのか、筋力低下がある方なのか、室内空間の問題か、いろいろ考えても

 

対象者を見ないと分からないのでさっそく対象者宅を訪問した。

 

既存住宅地、木造2階建て、築100年、一般住宅。

 

 

 

対象者はうつ症状があり、食欲不振、倦怠感、生活意欲の低下等があり、入院を繰り返し

 

自宅療養になり、筋力全体が低下している状態だった。庭に出ようとして何度か

 

転倒しているとのこと。現在独居、体調がすぐれない時にやや近くの家族が泊まって

 

面倒を見ている。動ける範囲で出来ること出来ないことを確認し、要望を聞いた。

 

 

 

築百年、縁側から直接庭に出たいのだが、間口の広い縁側。ガラス窓につかまるのも怖い。雨戸は全開にしたい。こんなところに手すりはつかないからどうしようと思っていた

 

らしい。手すりはしっかり付けて安全に外出できることを説明した。

 

縁側は木製ガラス戸と木製雨戸がある。この二つの建具を開けると何もつかまる

 

モノがない。まずは外側に敷居と鴨居にまたがり縦手すりを付ける。その縦手すりの

 

途中に外側へ手すりを着けていく。そうすることで、縦手すりを伝いながらしゃがむことも

 

できるし、立つこともできる。体調によって自分なりの使い方ができる。

 

それをもとに外へ出ることが出来る。

 

この他、トイレ、浴室にそれぞれ手すりを付けることにした。

 

この計画で見積を提出し、施工した。

 

築百年の浴室は船底天井に換気を取り入れた格子が組み込まれていた。手の込んだ作りが

 

素晴らしい。関東大震災を乗り越えた建物、柱が他の家より太いわけではない。耐震壁も

 

バランスがよいようには見えない。しかし、建物被害は少ないらしくこの地で残った。

 

 

 

この手すり設置後、庭先に出ることが多くなったらしく、再度訪問することになった。

 

もう少し外に出たいので外の手すりを追加したいとの事だった。

 

この段階で投薬が少なくなり、もっと外へ出たい気持ちがあると家族が言っていた。

 

 

 

案の定、また追加の手すりがあると電話連絡あり、手すりを追加した。

 

 

 

何かを転機にうつの気持ちが晴れたのだろう? よかったような気がする。

 

 

 

外へ出る手すり

 

雨戸ガラス戸は問題なく開閉できる。