医療関係者から脊髄小脳変性症の方の住宅改修の依頼があった。
この症状の住宅改修としてはあまりない。脊髄小脳変性症はどのような動きをするのか
さっそく難病情報センターで検索して調べた。それでも個人差があると思うので訪問した。
新興住宅地、木造2階建て、築20年、一般住宅。
対象者は一年前に発症し、足に力が入らない。疲れやすいとのこと。会話中に話しにくい
しゃべり方だった。たまにふらつきとかもあるとのこと。まだ車イスではない。
家族は介護に協力的だが、その中に一人障害者がいるため全面的介助はできないと聞いた。
そこで、動いてもらい、出来ること出来ないことを確認し、要望を聞いた。
発症後、一年とのことでまだ2階まで上れるとの事だった。
今回は手すりだけの内容で、階段、浴室、便所、洗面脱衣に手すりを設置することになった。
手すり設置計画をたてて、見積を提出し、施工した。
この段階では問題なく動けるようになった。
それから半年して対象者から住宅改修の相談の電話があった。
症状が進行し、ベッドから起き上がるのも大変になった。体調のいい時は居間まで歩いて
行くが、体調のすぐれない時は寝たきりになっていた。そこで2階での生活が難しくなった。
1階で生活することになり、ベッドを置くための周辺整備が必要になった。
それと、通院のため外出があり、公道へ出るための階段に手すりが必要になった。
それからまた数年して、家族から住宅改修の相談があった。
その間、ショートステイなどを繰り返して利用し、何とかやりくりしていた。
しかしそれも限界にきて、もっと使いやすい部屋のレイアウトにしたいとの要望があった。
今の状態では介助が大変で、ヘルパーも介助し難いとの事だった。
対象者は車いす状態、会話の内容は家族以外には聞き取りにくいしゃべり方だった。
対象者はショートステイでの生活を楽しみにしていて、併設の施設に入ることも
抵抗のない様子だった。身の回りの世話をしてくれるのも良かったようだった。
家族にこれ以上介助してもらうことが、気持ちの上で対象者は大変になっていた。
ここで依頼通りに大規模改修工事をするとなるとこちらはうれしいけど、今まで
介護してきた家族には申し訳ないけど、今回は改修工事を辞退した。
対象者は併設の施設で生活することになった。