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茶室(竹手すり)と住宅改修

以前手すりを設置した家族から筋力低下の方の住宅改修の依頼があった。

 

筋力低下とのことで各所に必要になるか、ピンポイントで必要になるかさっそく訪問した。

 

既存住宅地、木造平屋、築90年、一般住宅。

 

 

 

対象者は高齢で筋力低下がみられた。高齢ではあるものの手すりがあれば敷地内の

 

どこでも動けるとのことで、ある程度連続した手すりが必要になった。

 

そこで、動いていただき、出来ること出来ないことを確認し、要望を聞いた。

 

 

 

手すりは玄関前の階段、玄関周辺、廊下、トイレ、浴室にそれぞれに設置することになった。

 

また敷地内に別棟が2棟あり、そこのもう1棟にも必要になった。敷地は多少勾配があり、

 

敷地内通路にも外手すりを付けることになった。そのもう一つの棟である茶室の出入口に

 

手すりを設置することになった。

 

 

 

母屋は昭和の初期の作りで玄関を入って左に10畳ほどの洋間、その奥に畳の続き間。

 

その奥に炊事場と家事全般ができる部屋があった。続き間と炊事場の間に裏玄関があった。なかなか立派な作りで昭和感のある住宅だった。

 

手すりの設置は特に問題ない作りとなっていた。柱はヒノキ、建具はスギで組み合わせた

 

格子が実に見事にできていた。ふすま紙も松琴亭(桂離宮)の床の間の市松模様を思わせる

 

きれいな出来だった。なかなか見ることが出来ない作りを見させてもらった。

 

 

 

茶室へのアプローチの手すりは既製品で派手な作りでないものを設置。

 

茶室は室内に手すりを設置することなく、貴人口の前に既存の金属製支柱を立てて、

 

手すり部分には竹を施した。多少違和感はあるが不自然な感じではない。

 

これで茶室まではアプローチできて、気力体力が続く限り、趣味を楽しめる状態になった。

 

 

 

茶室は四畳半で官休庵(武者小路千家)にある半宝庵の写しで躙り口もあったが、

 

貴人口も設けていた。水屋は三畳あり、実に味わいのある作りの茶室になっていた。

 

三千家の中の四畳半となると又隠(裏千家)又は半宝庵くらいとなり、使い勝手のいい

 

半宝庵が気に入り、建てたようだ。

 

これらの話を対象者と間髪を入れず話ができた。対象者は茶道を趣味とし、

 

茶室建築に詳しい一般の方だった。あまりの詳しさにこちらも驚いた。

 

 

 

対象者はしばらく、茶道をたしなんでいたようだ。