医療関係者から脳出血の方の住宅改修の依頼があった。
脳出血や脳梗塞により、片麻痺になり住宅改修が必要になる方は多い。
しかし、人により麻痺の程度の差が大きく、手すり数本で終わる人もいれば、
車いすになり大掛かりな改修工事が必要になる人もいる。
今回は、どの程度の人なのかよく分からないので、さっそく訪問することにした。
新興住宅地、木造2階建て、築25年、一般住宅
対象者は仕事中に倒れて、脳出血で入院中。そこで医療関係者と家族が立会いのもと
住宅改修を進めることになった。この訪問の前にPTが家屋評価結果報告書を準備済。
内容は、手術しなかったが、右片麻痺、上肢のマヒが強く、下肢は装具を着用して
歩行訓練、病棟内では車いす移動、このような状態で指摘か所の記載が6か所あった。
① 公道から住宅までの通路が車の入らない路地、通院をどうするか
② 門周辺の階段が5段あり、手すりが必要。③ 玄関内の上り框+210をどうするか?
④ トイレの出入口に段差があり、これをどうするか?トイレの床が低い。
⑤ 脱衣室や浴室に手すりとイスが必要。 ⑥ 重度感覚障害により生活動線は明るさ
が必要。 以上の指摘事項をもとに以下のように計画した。
①は家族が車いすで対応することになった。②は屋外用の手すりを両側に設置する。
③は玄関の土間と上がったところに簡易の丸いすを置き、手すりを設置。
④は便器を外し、床を上げ、トイレの床面と廊下の床面の高さを同じになるように調整する、
そして便所と廊下の出入口に手すりを設置、便器に座るための手すり、立ち上がるための
手すりをそれぞれ設置。
⑤は脱衣のために簡易のいすを設置し、浴室の出入口に手すりを設置、
浴槽に入るためのバスボードのように腰かけて浴槽に入るイスを設置、
それとその周辺に手すりを設置。
⑥は照明器具を確認。 現状で40~60w相当の電球が付いていて、照度は低かった。
廊下や歩くところだけは照度を上げるように器具の交換。
このことを平面図や展開図に示し、病院のPTに確認してもらった。
この計画をもとに、見積をし、施工した。 対象者は施工完了後、数日して帰宅した。
退院から一か月後、追加の手すり1本を設置した。
対象者はこの段階では問題なく生活ができていた。帰宅前のPTの家屋評価が
しっかりできていたため、対象者は帰宅後日常生活を送れたと思う。
浴槽脇に置いた作りつけイス
浴槽ふちの高さが低いので
イスを設置した方がよかった