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外傷性くも膜下出血と住宅改修

医療関係者から外傷性くも膜下出血の方の住宅改修の依頼があった。

 

階段から転落してくも膜下出血になった方で、早急に改修できないかとのこと。

 

時間を見て、まずは医療関係者の話を聞きに行った。その後、対象者宅に向かった。

 

なぜか工事中、大手住宅メーカーのリフォーム部門が施工終了前だった。

 

既存住宅地、木造2階建て、築50年、店舗兼住宅。

 

 

 

対象者は自宅の階段から転落して、外傷性くも膜下出血で2か月入院することになった。

 

左半身マヒがあり、2か月の入院で両下肢の筋力低下がみられるとのこと。退院後1か月。

 

10m以内は何とか歩ける。座位は不安定なため訓練中。座位のバランスは少しずつ上昇。

 

この状態で、出来ること出来ないことを確認し、要望を聞いた。

 

 

 

トイレをうまいこと使えるようにしたいのが一番の希望。

 

現状で家族がベッドからキャスター付きのイスに移乗して、トイレの近くまで行く。

 

そこから2~3歩歩いて便器に座らせていたけどそれが大変になった。この状態を

 

改善したが、どうにもならない。当然、手すりも何もない。ふらついても家族が支える。

 

いまの工事関係者ではどうしていいかわからないらしい。困って医療関係者に相談した。

 

そこで、医療関係者から話がこちらにまわってきた。

 

対象者宅の便所は洗面所と廊下が兼用、この先に浴室がある。その廊下に面して

 

トイレがある。洗面所周辺に入るための扉の敷居に小さな段差が2段あった。

 

この段差はキャスターでは越えにくい。大手住宅メーカーは床工事をしたにも関わらず、

 

なぜか敷居の段差はそのままだった。困った時だけの依頼にはこちらも複雑だ。

 

 

 

そこで、トイレの改修案を見積と一緒に提案した。

 

    トイレの袖壁を外して3枚扉にする案、② トイレの袖壁を外してカーテンにする案、

 

③ 手すりだけで様子をみる案。 どの案にしても段差の部分はスロープを設置する。

 

これで家族に検討してもらった。 家族が選んだ案は③の手すりで様子をみるだった。

 

対象者が動けるように、必要とする箇所に手すりを設置した。 施工は完了した。

 

 

 

設置後、一週間くらいして家族から電話があった。もう一本手すりを追加したいとの事。

 

この時に、トイレの様子をうかがうと、足こぎして自力でトイレ近くまで行き、自力で

 

立ち上がり、何とかトイレで用を足している。そこでもう一本あるともっといいらしい。

 

そのための手すりを設置した。

 

 

 

大手住宅メーカーは何のための改修工事をしたのか、よく分からなかった。

 

 

 

 

 

左図が現状図

 

袖壁を外して、三枚扉に

 

改修するのがいちばんいいと思った。