ケアマネから橈骨骨折の方の住宅改修の依頼があった。
玄関先で転んで橈骨骨折したようだ。さっそく訪問した。
既存住宅地、木造2階建て、築90年以上、店舗兼用住宅。
対象者は高齢で、転んで橈骨骨折で長期入院となった。入院で動きが鈍くなった。
また、筋力低下により手すりが必要になったパターンである。
ベッドからの起き上がり、立ち上がりもゆっくりになった。歩行、移乗などすべてが
介助が必要となった。独居ではあるが、近くの親族が介助している。
ゆっくり動いていただき、出来ること出来ないことを確認し、要望を聞いた。
各所に手すりを希望していた。
玄関周辺、トイレ、浴室、廊下等に手すりを設置することになった。
対象者と歩いている時、この建物内部を細かく見ていくと実に面白い建物だと分かった。
建築関係者にとって、とても興味深い建築である。
店舗を兼ねた4.5畳くらいの土間部分は柱梁がヒノキで、格天井になっている。
踏み板は一枚板の2.7mと洗い出しの踏台になっていた。
部屋の作りは日本家屋によくある続き間の組み合わせで出来ている。
床の間はシンプルではあるが、真の作りで柱、框、落とし掛けなど格式がある。
ほとんどの柱が15cm(5寸)はある。数か所ではあるが、鴨居が梁を兼ねて
24cm(8寸)ある。欄間がシンプルであるが綺麗な作りである。木製建具の障子は
雪見障子を兼ねて細くてシンプルにできていた。
トイレの床板が一枚板になっていたのはびっくりした。洋便器に改修してはあるが、
かつての和便器の形状であったため隙間の穴埋めもしてあった。
3畳くらいの浴室は古いモザイクタイルが床と腰壁に施し、上の壁は板張りで
天井は熱気を排出するように勾配天井で中心部分に集まるようにして外部へ出していた。
浴槽そのものは洗いだしの技法で出来た一体型の作りになっていた。
建築的にとても興味深い手すりの設置だった。
手すり設置後、対象者の承諾を得て、建物を細かく見せてもらった。