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後縦靭帯骨化症と住宅改修(2)

対象者の家族から後縦靭帯骨化症の方の住宅改修の依頼があった。

 

改修依頼は何年かに一度あるくらい珍しい難病の一つである。そうは言っても人により

 

症状は違うので、さっそく訪問した。既存住宅地、木造2階建て、築40年、一般住宅。

 

 

 

対象者は後縦靭帯骨化症で手と足にしびれ感がるとのこと。過去手術を2回行った。

 

室内はゆっくりと歩いていた。外出も近くを歩くときはゆっくりと歩いている。

 

ゆっくりではあるが、2階にも登れるとのこと。

 

この状態で、歩いてもらい出来ること出来ないことを確認し、要望を聞いた。

 

 

 

転倒予防のための手すりと床の段差を解消することを要望した。

 

手すりは浴室と便所と洗面所と玄関周辺に設置を予定。

 

 

 

段差解消は築40年の住宅の場合、敷居が廊下の床より高いことが多い。

 

昭和の住宅事情では当たり前の施工だった。

 

今回の段差解消は廊下の床を上げて、敷居と同じ高さに仕上げることにした。

 

便所の床はタイル張りで冬に詰めたい感じがあり、転倒した時に危ない感じがするとの

 

ことで、タイルを撤去して、クッションフロアー敷きにすることにした。

 

この際、便所の扉を内側に開いていたのを廊下側へ開くことにした。吊元変更。

 

 

 

この仕様で見積を提出し、施工した。

 

完了した直後、対象者は手すりもあるためかトイレに入るのが楽しくなったと喜んでいた。

 

症状として、特に進行するようでもなく、次に何かが必要になるわけでもない。

 

手すりがあるだけで、転倒さえしないようにすれば、普通に生活はできるようだった。

 

 

 

しばらくして、対象者の家族からこの建物の様子を見てもらいたいとの要請があった。

 

建物の定期点検の経験が10年以上あるため、そのことを知って、依頼してきた。

 

建物を見ていくと、外壁から内部へ雨水が侵入した思われる場所があることを説明した。

 

壁をはがさないと水が入ったかどうか判明しないことを説明し、入っていないこともある。復旧にも工事費がかかることを説明した上で、外壁をはがすことにした。

 

案の定、柱や筋交いが雨水の侵入により、かなり腐食していた。

 

柱を補強するように付け柱を設け、雨水が侵入しないように仕上げていった。

 

 

 

人間もそうであるように、この住宅に限らず、建物の定期点検は必要である。

 

 

 

 

土台に柱がのっている状態。

 

土台と柱の腐食がよく分かる。