ある日、ケアマネから脳梗塞の方の住宅改修の依頼があった。
対象者の中でよくある脳梗塞、今回の対象者は脳梗塞で失語症、介助が必要なマヒもあった。
片足をうまいこと上げられない、その日の体調によってはもっと動けない状態もある。
場所は築30年の集合住宅の一室。仕様は古い材料が使われているのがよく分かる。
かばさんが訪問する前に、この対象者は自治体の住宅改修相談制度を利用していた。
立ち会い者は建築士とケアマネだけで、医療関係者はいなくて、計画内容があった。
しかし、これでは対象者は動けないでしょう! 浴室の出入口が高かった。
現状で対象者の動作は浴室の段差17cmは上るのに難があった。踏台が必要になった。
脱衣室や便所などの段差の調整が取れていない。そこだけに踏台を置くのも難しい状態。
今後のリハビリによって改善するのかどうかは今のところ分からなかった。
困ったことに、対象者の家族が、対象者が入院している時にユニットバスだけを先に
改修して設置した。ユニットバスを設置しただけで、入口周辺は下地がむき出し状態。
つまり、知り合いの水道工事会社にユニットバスの設置だけを発注したが、丸で工事中状態。
この状態でかばさんに住宅改修の手すりと建築の一部を依頼してきた。
こうなると、せっかくの住宅改修が全くまとまらない状態。家族は建築関係者ではない。
まずはユニットバスの選定に問題があった。建築で統括しないまま進めるのは難しい。
ユニットバスの床面の設定、洗面脱衣との床の段差の確認等していなかった。
かばさんに調整を依頼されたわけではない。家族は手すりで何とかなると思っていた。
結果的に、対象者が動くには難しい住環境になってしまった。
対象者の家族は住宅改修を個別に発注することで安く出来ると思うと同時に
専門を知っている人に施工してもらうことで調整が取れると思っていたようだ。
ここの場合、水回りの周辺の高さをどうするか?から始めるのがよかったと思える。
洗面所の床、それに伴って便所や浴室の高さをどうするか?を検討して最終的に決める。
段差なし、もしくは小さなスロープなどの段差がいいに決まっているが、最小限の段差を
付けることで次の段階が楽になることもある。それは対象者の動きを確認してからである。
このような多業種が複雑に絡むときは、計画の段階で全体の統括をする人が必要だ。
この計画がないと工事がおかしなことになる可能性が高い。
今回、自治体の住宅改修相談を利用した段階で、細かく注意点が記載してあった。
しかしそれを理解しない家族が引き起こした変な改修になってしまった。
「浴室と住宅改修」の記事でも書いたように、ユニットバスの設置はじっくり検討して
下さい。介護や住環境をじっくり考えられる相談者がいるといいですが、
いない場合は注意してください。じっくり考えて下さい。