建築関係者以外とバリアフリーについての話をすると「心のバリアフリー」が最初になる。
これは最も重要であるが、ここでは建物のバリアフリーについて述べたい。
公的バリアフリー、
つまり公共建築物、公共交通や不特定多数の人が出入りする場所のバリアフリーは
教科書等もあり、ネットでたくさんの情報があふれるくらいある。何とか整備できる。
敷地の内外、出入口、手すりの高さ、スロープ(傾斜路)、便所等の仕様などなど。
事細かく、図になって仕様が記載されている。かなり研究されている。
そうではあるが、よく思うのが、例えば手すりの高さなど不思議に思う。
手すりの高さは65cm~80cmを目安に設置して、上下二段にしている場合が多い。
今まで手すりを付けていて、65cmの高さで手すりを設置したことはまずない。
80cm以上で付けた人は数知れずある。このずれは何なのだろうか?
身長150cm以下の方でも75cm前後以上がほとんどである。
仮に子ども用とした場合、手すりが必要な子供は別な方法を頼りにしている。
身長の高い人の場合は当然、85cmなどざらにある。さすがに95cm以上はほとんどない。
予想するに、これらの数値は昔の大先生が提唱したオーダーではないかと思われる。
公共の福祉のために誰かが言わないと変わらない。日本人の体形も変わっている。
建築学会も動かないし、国交省は全く知らぬ存ぜぬである。
私のバリアフリー、
私はこれを「個別のバリアフリー」と呼んでいる。
個別のバリアフリーをテーマにした教科書はないわけではない。しかし難がある。
理由は100人いたら100通りの回答になるからだ。それくらい人によって違ってくる。
今までブログにした記事を教科書にしても一通りの回答でしかないことが多い。
世の教科書は神経系、視覚系、骨格系など医学書に似た分類から始まるところが面白い。
その点、個別のバリアフリーと比べて、公的バリアフリーは基準が明確である。
個別バリアフリーは公的バリアフリーの基準を元にアレンジすることはよくある。
例えば、スロープの設置をする場合、公的バリアフリーでは1/12~1/15の勾配が目安。
つまり50cmの段差で6m~7.5mもの長さのスロープが必要になる。
これは一般的住宅では敷地の制限もあり、非常に問題になる。時には1/8の勾配もあった。
1/8の場合、簡易スロープで試験的に試してから、実際のスロープを設置する。
介助者の設定、ほかの条件にもよるが、意外と出来ないことではない。
ほかに、手すりの設置は個人差があり、トイレの手すりは基準にはまらないこともある。
例えば、便器から立ち上がる時に、便器の先端方20~30cm離した所に縦手すりを設置すると立ち上がりやすいとは一般的であり、ほとんど異論はない。
しかし、中には便器の真横に縦手すりを設置し、しがみつく様に手すりを持ってゆっくり
しゃがみ、その後は手すりを持ってよじ登るように立ち上がる人もいる。極まれである。
個別のバリアフリーはその人自身をじっくり見ないと実現は難しい。
個別のバリアフリーを実現するには対象者の動きを見て、観察力洞察力が必要になる。
それと医療関係者の協力が必要なのは言うまでもない。
そして、PTOTが立ち会った時は、改修しなければいけない箇所を言ってください。
手すりが付く付かないは後でいいから必要な個所を言ってください。とお願いしている。
引戸の部分に手すりを付ける記事と一緒で、ほとんどのところに手すりは付くはずです。
今後とも、細かく見ていくことでしょう! PTOTの方々よろしくお願いします(^^)