ケアマネから脳性マヒの方の住宅改修の依頼があった。
動ける人だとのこと。それだけでは全く分からないのでさっそく訪問した。
対象者は脳性マヒで下肢障害を持つが、就労が可能な方。何とか動ける方だった。
頸椎狭窄症もあり、手術もしていた。そのため最低限の手すりが付いていた。
筋力低下もあり、年齢とともにバランスが悪くなり、簡単な装具を装着。
同居の家族は、下肢装具を着用、二人で何とか生活している。
お互い、日によって波があるらしく、介助が難しい時もあるとのこと。
こうなると建築しか知らない人間は、何に注意しなければいけないか全く分からない。
例えば、指先の動きを見るとか、どう動くのか、関節はどうしているのか、動くのか、
トイレは近くなるのかどうか、浴室では沈まずに動けるのかどうかなどなど。
動作を見ただけでは、そのことに対しての一つの回答はある。しかし的を射ていないはず。
この場合、建築関係者だけで住宅改修を進めるのは、とても無理がある。
建築関係者はこの症状に対してはこれをすればいい! 以前もそうだったから、
今回も、同じように手すりを付ければいい。この傾向が多い。同じように考えてしまう。
この介護保険の住宅改修に慣れた建築関係者は特にこの傾向が多い。
今回は、OTが立ち会ったことと、定期的に病院のPTにかかわってもらっていた。
この脳性まひの対象者に、今の段階で何ができるか出来ないかを聞き取り、要望を聞いた。
各所に手すりが必要なことが分かった。段差のある各所が問題点になった。
手すりと敷居の撤去を計画し、見積を提出して、施工することになった。
駐車場、玄関周辺内と外、浴室、便所、階段、寝室と手すりを付けた。
手すりを付けたことで対象者と家族も動くことが多少楽になったとのこと。
それからしばらくして、入浴の問題で再訪した。
手すりは問題なく使っていて、手すりがないと今では移動が難しくなったとの事だった。
浴室は軽介助が必要になった。シャワーキャリーで入浴もできるようにしたい。
現状は出入口に15cm、洗い場側に30cmと浴槽内に54cmの段差がある。
洗い場にすのこをひいて、リフトを設置する案もあったが、この家族には無理があった。
それと、今まで付けた手すりでも無理が出てきた。浴槽から出るのが難しくなった。
無理のない入浴方法は、1216のユニットバスにすることになった。
手順を踏んだユニットバスの選定で、なるべく段差や負担が少ないものにした。
この段階では、この対象者はまだ、自宅で生活はできている。