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頚つい損傷と住宅改修

ケアマネから頚つい損傷で歩行が難しい人の住宅改修の依頼があった。

 

ようやく病院から退院して、少しは動けるようになったとのことで、さっそく訪問した。

 

対象者は階段から転落、頚つい損傷でC2C6までがマヒし、知覚鈍麻による四肢マヒ。

 

これだけ言われると、建築しか知らないものにとっては「何?」って感じです。

 

 

 

そこで、少しだけでも動いてもらい、出来ること出来ないこと、要望を聞いた。

 

トイレの動作を自力でこなしたいとのこと。対象者は便器に腰を下ろす時、

 

ゆっくり座ることが出来ない。ドンとお尻が落ちてしまう。

 

また立ち上がりも自分では腰を上げられない。何らかの介助が必要だった。

 

そこで最初に手すりを提案した。見積を提出し、施工した。

 

 

 

案の定、「自力では無理」とすぐに連絡があった。再度訪問して検討した。

 

リハビリ中であるとのことで、病院のOTに意見をうかがった。

 

そこで、便座昇降機の提案はあったが、リハビリスタッフが余り関与していなかった。

 

それと、対象者宅の便器と便座を詳しく調べると、ほとんど見たことにない種類だった。

 

これではどの種類の便座昇降機を設置するか全く分からない状態になった。

 

便器のサイズを詳細に測り、機器の寸法もチェックした。

 

検討した結果、空気で膨らませるタイプの昇降機を設置することになった。

 

 

 

設置後、2週間くらいしてまた、昇降がほとんどできていないとのこと。

 

お尻が上がらない、昇降機の不具合か?そこで、メーカーに点検依頼、問題なし。

 

この空気式を変更し、機械式に便座を上げるものにした。

 

 

 

このあと、一か月くらいして再度訪問した時もまだうまいことできていなかった。

 

機械的にお尻を持ち上げられても、足がうまいこと前に出ない。動きが悪かった。

 

この一連の動作を見て思ったのが、本人ができると思って動きたいことと

 

その対象者の動きの限界は別問題で、対象者自身が「できるから何とかしてくれ!」

 

はどこまで進めればいいのだろう。なかなか難しい判断だ。

 

途中でリハビリスタッフも深く関与していなかった話を聞いた時が境目だったのだろう。

 

 

 

自分の体の動きに過大評価なり、過大な期待をしていたのだろうか。

 

「思い」と「限界」の相違があまりにも大きかったようだった。

 

 

 

階段には手すりを付けましょう!

 

 

一軒の家でこの両方を設置しました。

 

めずらしいケースでした。

 

この機器はリュウマチ患者には勧めるが

それ以外は慎重になっています。