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脳梗塞と住宅改修(2)

ケアマネから車いす生活の方の住宅改修を依頼された。

 

住宅全体を車いすで移動できるように改修してほしいとのこと。

 

どのような住宅なのか?どのように改修するのか?さっそく対象者宅を訪問した。

 

従来の住宅地、木造2階建て、築30年以上。 敷地地面の高低差はほとんどない。

 

 

 

対象者にどのような改修を希望しているか聞いた。住宅内部を全面改修したいとのこと。

 

対象者が出来ること出来ないことを聞いた。対象者は骨折により歩行は困難で、

 

外出は車いすとなる。骨折する以前に、軽い脳梗塞をおこしていた。マヒは少ない。

 

一時的に、手すり等を持って立つことはできる。5歩以上の歩行は困難。

 

 

 

さっそく、対象者の住宅の室内外と周辺環境を詳細に現状調査した。

 

水回りのトイレは1畳弱、浴室が2畳位、洗面脱衣は2畳弱の広さだった。

 

廊下は広く、移動には問題なく、2世帯の生活空間を考えることになった。

 

基礎土台は外見上、特に問題になるひび割れや腐りは見られなかった。

 

しかし、室内床はかなり傷んでいた。床はいつでも穴が開く状態。

 

車いすということで段差の確認をした上で、詳細に詰めていった。

 

そこで、水回りの新しい環境を提案して、了解のもと、見積を提出した。

 

見積と計画図が対象者に了承されたので、工事を始めることになった。

 

 

 

水回りの改修提案は以下のようになった。

 

*トイレは介助を前提として2畳近い広さとし、最新版の便器を設置した。出入口は引戸。

 

*洗面所は2畳強、浴室は2畳位で、3枚引戸にして段差はほとんどない状態にした。

 

*台所は窓に向かってI型のキッチンを新設、あとは床を全面的に改修することになった。

 

 

 

この対象者宅は、住みながら工事を進めていくことになった。そのため、工事区分をした。

 

対象者がしばらく入院することになり、寝泊まりする部屋を変えながら工事した。

 

それと、キッチン・浴室を使えない日を設定しながら工事を進めて便所は一日で終えた。

 

 

 

1階床が傷んでいた理由は、フローリングの経年劣化と地面からの湿気だった。

 

床下の地盤面に防湿施工が何もなく、この敷地の測量図を見ると敷地端に青地のような

 

小さい水路があった。これを考えると、湿気対策は必要不可欠だった。

 

地盤面にフィルムとコンクリートを流し込み、念のために床下換気扇も設置した。

 

床下の湿気対策後、根太を新設し、仕上げ床面をフラットにしていった。

 

この床を張る前に、既存の構造計算をした上で、柱・梁・筋交いの金物補強をした。

 

室内の仕様は

 

床:ヒノキの節ありフローリング 壁:クロス張り及びシナベニヤ透かし張り、

 

天井:クロス張り及びシナベニヤ透かし張り、 照明器具は家族が選定した。

 

浴室:TOTO製 便所:TOTO製 キッチン:クリナップ

 

 

 

この家は外構の工事もあった。

 

週に数回外出する。門から玄関まで車いすで動けるようにすること。

 

現状は飛び石と周辺は土で駐車場は特になかった。

 

車いすで乗り降りできるように駐車場部分を幅広く確保した。

 

それと、車いすで通れる通路を玄関前と対象者の寝室前に確保することになった。

 

予算上、コンクリートの刷毛引き仕上げで通路を作ることになった。

 

しかしコンクリートだけでは味気ない。そこに赤白黒の小石を点在して埋め込んだ。

 

 

 

工事が完了し、一か月後は問題なく生活していた。工事期間約2か月。

 

 

 

外構の通路部分

 

通路幅 90cm

 

石を埋め込んでいる