ケアマネから腰の変形のある方の住宅改修を依頼された。
腰の変形?と言ってもどのような変形なのか?ネットで検索しても円背くらい。
まったく分からないので、さっそく対象者宅を訪問した。
住宅団地で、木造2階建て、築20年以上の住宅。階段も少ない。
対象者に会ってびっくりした。最初にお会いした状態は確かに腰が曲がっていた。
顔が足に近い状態まで屈曲していて、対象者はにこにこして挨拶していた。
座っている時はL型に曲がっていた。この姿勢が一番楽だと言う。この状態で、
最初に出来ること出来ないことを聞いて、どこに何が必要かを聞いていった。
この屈曲の状態で、まず動いてもらうことにした。快く動いていただいた。
廊下をつたい歩きしながら、寝室から食堂浴室便所へと移動していた。器用に動いていた。
外出は自力で車いすに移乗し、自力で車いすを動かしている。
二十数年前から、この症状が発症し、今の状態に落ち着いたらしい。
最近になって、脳梗塞も併発して、マヒは少ないものの何かにつかまるモノが必要とのこと。
そこで、対象者の動きを何度か確認させてもらった。壁のつたい歩きであることが分かった。
柱(91cm間隔)に縦手すりを付けることでそれに伝いながら移動できることになった。
廊下の曲り角は柱の二面に手すりを設置、取付高さは屈曲しているため持つところは低め。
寝室の寝床からの起き上がりも想像できない起き上がり方法だった。
起き上がって歩行するのに、屈曲しているがために簡単に起き上がれない。
対象者は自分で一番つかまりやすい窓枠を引き寄せるように数回、反動をつけて、
体を起こしていくやり方だった。体を起こさない限り、一日の行動が始まらない。
体が屈曲しているがため、高くもなく低くもない握りやすい所を探して移動していた。
手の平を縦にするか横にするかで自分の体を寄せたりちょっと持ち上げたりしていた。
車いすへの移乗も微妙な移動を繰り返して、うまいこと動いていた。
言葉で表現するのは非常に難しいが、不自由なりに自分なりの手段で移動していた。
実に見事でした。
対象者は障害者手帳をもっていなかった。申請しなかったのか、出来なかったのか。
厚労省が決めた枠にはまらない障害なのか分からないが、
この方はこの改修だけで満足した。
この手すりは 相模ゴム工業製。
相模ゴム工業製 手すり
端部が自然に曲げてあり、対象者が屈曲しているため
手すりを持つ位置が問題になってきた。
一般的に端部が金物はよくあるが、これはちょっと違う。