ケアマネから杖歩行の方の住環境整備の依頼があった。
どのような環境なのかわからないのでさっそく訪問することになった。
住宅は昭和の郊外にある鉄筋コンクリート造のマンションの一室だった。
さっそく、できること出来ないこと、希望することは何かを聞いていった。
対象者はなぜ杖歩行になったか?と思っていたら、本人が話してくれた。
事故により大腿部骨頭障害があり、足を曲げられないことが分かった。
それと骨頭が接する部分が薄く削れてしまい、右と左の足の長さの差がある。
そのため、医者からの伝達として、関節の曲げなど制限事項があった。
杖をついて住宅内を動き回るのは多少不便だが、今は何とか出来ている。
しかし、今後室内でも限界があり、動くのに何らかの方法が必要と思っていたようだ。
そこで、希望することは便所の手すりと浴室の手すりがあれば生活が違うらしい。
現状はトイレの出入口に段差があり、浴室も段差は各所にある。
この段差をどのように扱うか、どれくらい越えられるかが検討事項になった。
実際、対象者に動いていただき、手すりなどの設置場所を検討した。
まずは便所、出入口に5cmの段差、これは通常の縦手すりや横手すりで対応できた。
次に、浴室浴槽の入り方にびっくりした。現状でどのように入っているかやってもらった。
手すりがない、つかまる家具もない、浴槽のふち以外つかまるところはない。
にもかかわらず、今までは浴槽内にまで入り入浴を楽しんでいたらしい。
対象者は出入口にいすを置き、洗濯機などを補助にして手を巧みに動かし、
この浴室は高い位置に窓があり、その窓の枠をもって浴槽内に入っていた。
浴槽から出る時も、浴槽のふちを持ち、自分の身体をリフトアップしていた。
足を曲げる制限があるのに、何でこんなことが出来るのか実に不思議でならなかった。
対象者に聞いたところ、若い時体操競技で上腕は動かすことは何ら問題がなかった。
腕の力だけで、自分の体をある程度、操っていた。なかなか出来ることではない。
長年、体操競技をしていて、年いってからもそれなりに体を動かしていた。
それがゆえに、今までは手すりがなくても何とか入浴が出来ていた。
今回、その上腕を動かすことがだんだんと難しくなって手すりとか何らかが必要になった。
浴室の出入口、浴室に入ってから、浴槽に入るため、浴槽からの出る時、
それぞれの目的に沿って手すりとスノコを設置することになった。
設置後、すぐに使えるため、さっそく対象者が使用してみた。
また新しい自分の世界のようで、楽しむかのように出入りを繰り返していた。
若い時に身体能力を鍛えて、それを少しでも維持しようと努めてきた。
この能力は素晴らしいものがあることを驚くように見てしまいました。
過去に運動した身体能力の潜在性は無駄にはならいいものでした。
ここの手すりはTOTO製と矢崎化工。