知り合いを通じて全盲の方の住宅改修をすることになった。
全盲と言ってもかすかな明かりは見えているらしい。
最初に聞いたときに、全盲の方の住宅内の改修はどのようにするのだろう?
聞いただけで、何をどうしていいのか?改修する間の生活はどうするのか?
まずはわからないので、さっそく訪問することになった。
住宅団地内にある木造2階建て、道路と玄関は20段くらいの階段を上ってたどり着く。
住宅内は玄関の段差以外、部屋間の段差はほとんどない。浴室の洗い場と浴槽に段差がある。
そこで、どのようなことを要望しているかを聞きだした。
住宅内は長年住み慣れた環境なのでどこに何があるか!どれくらい歩いたら何があるか。
この壁を伝わったら次に何がある。などなど大体のところはわかっているとのこと。
思わず納得してしまった。家の中が傷んでいないか?そして最近筋力が落ちてきたので
トイレの手すりがほしいとの事だった。
長年、建物点検業務をしていたため、どこが悪いかの要点を見たところ問題ない。
外出時は知り合いを通じて白杖で一緒に歩いてもらっている。
この全盲の方の一番の問題点は、玄関外の階段部分を何とかしたいとの事だった。
筋力が落ちてきたことと、上り下りに位置感覚がつかみにくいとのこと。
位置感覚とは階段の一段がどれくらいの位置にあるか、終わりまで後何段あるか?
その場で提案したのは以下の内容だ。
① 階段に手すりを着ける 工事費 工事日数
② 階段にいす式昇降機を付ける 機器の工事費 工事日数 使い勝手
③ 本格的な昇降機を付ける 機器の工事費 工事日数 使い勝手
対象者は、自分で歩ける、機械類は見えてないから挟んだりすると怖い、などなど。
自分が歩けなくなる寸前まで自分の足で伝い歩きできるならそれを選択したいとのこと。
もう一つの要望で、トイレの手すり設置があった。
手すりは今まで扱ったことのない真っ赤な手すりを設置した。少しだけの明るさを分かる
対象者にはこの赤い色がよく見えるらしい。健常者ではわからない。
かばさんでは、手すりの設置はほとんど部分がボルトやビス締めのため設置後すぐに使える。
手すりを設置後、対象者が手すりを伝わって階段を自力で動いて、道路まで行き、
玄関まで戻った。自分でこれができると言う喜びを感じたらしく顔がほころんでいた。
外手すりは矢崎化工製。