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リュウマチと住宅改修(4)

ケアマネからトイレ洗面所浴室周辺の環境整備をしたいとのことで依頼があった。

 

対象者は指や足は典型的なリュウマチ、車いすで足こぎ、室内を移動。

 

小さな段差が多く、足こぎがきつくなった。木造2階建て、築十数年。

 

有名設計事務所の住宅。それゆえ大きな段差は少ないが、小さな段差は各所にある。

 

例のごとく、出来ること出来ないことを聞き、要望を調査した。

 

トイレの出入や移乗、浴室への入り方がだんだん難しくなってきたとのこと。

 

現状は、廊下に面して単独の便所、洗面脱衣と浴室が隣り合わせで並んでいた。

 

便所は便器の淵で3cmの段差になっているスタイル、出入口も3cmの段差がある。

 

洗面脱衣は車いすで回転すると動きにくい状態、浴室出入口は木製片引きである。

 

 

 

計画は便所洗面所脱衣をつなぎ合わせて、廊下からの段差を無くして、浴室出入口は3枚引戸とした。便所と洗面所の壁をなくしたことで一体の空間にした。 廊下からのアプローチがゆっくり、回転しながら入っていける。やや広くなった洗面所でゆっくり車いすを動かしながら便器への移乗が横付けできる。これに便座リフトを設置した。この対象者の場合、便座の動きは上下式にして使うこととなった。 洗面所周辺の使い勝手が多少変わってきた。洗面器の蛇口は一般的位置でなく、手の届く位置に変更した。入浴は3枚引戸にしたこととすのこを設置したため、改修前よりは楽になったとのことでした。

床はCFシート、壁は塗り壁、天井はシナベニヤ塗装仕上げとした。 

 

 

 

対象者のもう一つの要望として室内をもう少し暖かくすることをひそかに思っていた。リュウマチの痛さが違ってくるらしい。現状はエアコンのみ。 対象者は床暖房や薪ストーブなりが欲しかったみたい。これは家族の賛同がなく出来なかった。床暖房は事故が多い時期で製品としてあまり世に出ていなかった。

 

そこで、今はやりの薪ストーブを入れてはどうかと提案した。対象者は薪ストーブの提案をしたときに、満面の笑みを浮かべて欲しがる表情だった。現実は手間を考えると、エアコンが一番簡単。室温の暖かさを考えると薪ストーブが勝る。コストを考えると薪よりエアコンは安い。薪ストーブの温かさはリュウマチの関節の痛さを軽減できるのだろうか、あの満面の笑顔はそれを知っているような感じでした。

 

 

 

リュウマチはひとそれぞれで、指先の変形、痛さの程度など、聞かないと分からなことが多い。

 設置した便座リフトはTOTO製 洗面台蛇口一式TOTO製 3枚引戸YKK製

 

 

 

リュウマチの方の典型的な便器の高さ調整

 

便器の淵で3cm前後の段差が付いている

 

補高便座もあるが、使用上多少不便

 

便座リフトの場合、高さを自分に合わせられる

 

しかし、家によっては便座リフトは

設置が難しいところもある