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脳性小児マヒと住宅改修

脳性小児マヒの方のトイレについての相談依頼があった。

 

脳性小児マヒで車いす生活、家族が介助しているとの情報があった。 

 

それ以外は何がどれくらいできるのか全く分からないのでまずは訪問した。

 

住宅は築浅く、木造2階建て、対象者の生活空間は6畳の間で、車いすの座面の高さに合わせて、ほかの部屋より床が高くしてあった。移乗を考えての作りであろうと思われた。

 

入浴はヘルパーさんによる介助で、やや大きめのユニットバス、出入りも問題なかった。

 

現状の状態と、出来ること出来ないことを確認した。

 

この対象者の畳の部屋にトイレを設置することが要望だった。

 

そして、家族がトイレで介助移乗したりすることで腰痛がでてきた。

 

おむつもあったけど、それもまた、難しかった。

 

 

 

数日後、1畳分の床を下げて、掘りごたつ状にして、そこに排せつの処理を容易にするためにポータブルトイレを設置し、手すりを付けることで座位を確保し、排せつが可能な状態を計画していることを提案し、図面と写真等で説明した。対象者は畳の上ではゴロゴロと回転しながら移動していたので、トイレまでの移動はゴロゴロ回転しながらたどり着ける。トイレの設置場所としてはゴロゴロしながらうつ伏せして便座の近くに行き、最後は起こしてもらう位置までのルートを家族と相談しながら決めていった。それと、琉球たたみ畳とその下の床板の上げ下げ、脱着式の手すりが家族の負担になることも説明した。

 

家族が職人で理解は早かった。この内容なら可能かもと、家族も簡単に了解した。

 

それと、手すりの位置は一回では適切な場所にならないことも説明した。

 

 

 

実際施工することになり、40cm床を下げるため、大引きの位置を畳だけを見て、どの位置に約1畳分の床をくり抜くかは、何となく不安があった。さいわい、大引きを避ける事ができたため、作業はスムーズに進んでいった。トイレ設置後、畳とポータブルトイレの段差がある。そこには畳の位置との隙間が少なくなるようにウレタンマットを枠として設置した。座位を確認しながら手すりも設置した。一連の施工はここで終了した。

 

 

 

数日後、手すりの位置の件で家族から連絡があった。

 

案の定、位置が微妙に違うことと、手すりの取り外しがうまいこと出来ていないとのこと。

 

また、対象者に何度か動いてもらい、位置を確認して手すりを設置した。手すりの取り外しは、径の違う材料の組み合わせで対応した。この場はこれで終了した。

 

 

 

数日後、再訪問した。座位を保てることで排せつはある程度良好らしい。

 

畳の上で好きな音楽を聞きながら、ゴロゴロしているとトイレを使用するのに、いいらしいことも聞きだした。

 

 

 

ポータブルトイレはアロン化成 手すりはシロクマと矢崎化工の混在。

 

このポータブルトイレの脇手すりと背もたれを外して、畳の下に据えた。