話がまわりまわって、障害者施設で個々の部屋を改修することになった。
対象者は脳性まひ、脳障害、ウエルニッケ脳症、脳性小児マヒなど多岐にわたる、
年齢性別も、障害の程度もまちまちで、主に動きの激しい人、数人に室内改修を行った。
建物は新築、鉄筋コンクリート造2階建てで、数棟に分かれて、部屋もそれなりの数がある。
その内装はみな同じ仕様で、床はCFシート(厚み1.8mm)張り、
壁はGL石膏ボードの上にクロスを張りで出来ていた。壁の角は特に保護材などない。
そのまま、その建物を設計した会社が設計し、施工会社が施工すればいいのにと思った。
しかし、設計会社はこのような個別のバリアフリーに対しては計画ができないとのこと。
「たかが手すり、されど手すり」で申し上げたことがこれだ!資格は仕事をしない!
設計会社のフォローまでに申し上げると、出入口の床は段差の少ない仕上げ、
扉はややゆったりとした吊引戸、便所は介助で移乗のできるスペースを考えてある。
しかし、細かいことを言えば壁の角に保護材はない、窓の善板など角が出っ張っている、
今は一般的になっている「見た目木材」の枠を使っているため欠けやすい。
「見た目木材」は車いすやストレッチャーなどが枠の角に当たって簡単に欠けてしまう。
枠に手すりは簡単に付くが、簡単に緩んでガクガクなってゆるくなってしまう。
この「見た目木材」は今どきの一般的住宅にはふんだんに使っている。
ある部屋の仕様
床に3cm位のイグサ模様のやや硬めのウレタンマットを敷き詰める、CFより柔らかい。
壁にはやはり3cm位の波の凹凸のある木目調の柔らかいウレタンマットを張り付ける
壁の角に衝撃防止のかなり柔らかい色付きの小さなウレタンマットの設置
トイレの追加手すり、カウンター角を削りR状に加工、
この他にベッドからの転落防止用と姿勢保持のための個々の体形に合わせて大中小、
三角形、台形、四角様々な形のカラフルなウレタンマットも設置した。
ここの対象者はヘッドギアをしているもののひっくり返ったり、
倒れたりして頭を打っても衝撃をやわらげるような仕上げにした。
「福祉施設を設計しています」と言う会社はたくさん、たくさんあるのに、
入所者の生活を最後まで考えた設計ができるところは数少ない。
健常者の住むところは居住者本人が検討できるが、
障害者の場合はそうはいかない。もう少し踏み込んだ内容が必要だ。
入所後、数か月の段階では対象者は利用しているだけしか聞けていない。
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床用ウレタンマット 木目模様
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床用ウレタンマット イグサ模様
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壁用 ウレタンマット 木目模様 凹凸がある