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転倒と住宅改修

転倒による住宅改修もよくある依頼の一つである。

 

高齢者で筋力低下により転倒する。疾患により転倒する人もいる。

 

転倒と言っても人はさまざまである。

 

 

 

<転倒の場所と現象>

 

敷居につまずいて転倒した。居間で立ち上がろうとして転倒した。

 

トイレに入るときに段差で転倒した。トイレから立ち上がろうとして転倒した。

 

ベッドから立ち上がりすぐに転倒した。

 

廊下を普通に歩いて転倒した。階段の途中で踏みはずして転倒した。

 

玄関を上るために足を踏み外して転倒した。門の周辺で階段を踏み外し転倒した。

 

脱衣の最中に転倒した。入浴中に浴槽に入ろうとして転倒した。

 

浴室から出ようとして転倒した。しかし台所周辺ではほとんど転倒はない。

 

 

 

<転倒に至るモノ>

 

*小さな段差でつまずくことがある。

 1cm前後の段差が一番つまずきやすい。段差が大きいと人は意識して足を上げるのか、つまずくことは少ない。

 

*扉の枠をつまもうとする。

 指先でつまもうとしてつかみ損ねることがよくある。扉周辺は段差があることが多い。 そこで方向転換をしようとしてとびら枠をつかみ、移動する。

 

*タオル掛や水栓器具をつかもうとする。

 浴室洗面所で人はタオル掛を手すり変わりにしてつかもうとする。ひとによってはタオル掛ががくがく動くことがある。そのタオル掛が動く家はよく見る。タオル掛が折れた家もあった。水栓器具もつかもうとする。感覚障害の人は 熱さを感じない人もいて、水栓金具の熱い方を触ることもある。非常に危険である。

 

*家具やイスを伝わろうとする。

 バリアフリーとは言うものの家具やイスなどが程よくあるとそれに伝わって部屋間の移動が容易にできる家もあった。特殊なケースだが、バリアがあるのに移動が容易な家はこの家だけだった。ほとんどの家は家具やテーブルを何とか伝わりながら移動してその途中で転倒する。

 

*壁を頼りにしている。

 筋力が弱ったり、何かしらの疾患があったりすると、何もつかまるところはない廊下など壁を頼りにして移動している。途中の扉の枠などつかんだ形跡はいたるところに残っている。この痕跡はつかまるモノが必要な印だ。

 

*そこにあるものをつかもうとしている。

 「溺れるものは藁をもつかむ」の言葉に代表されるように、ひもをつかんで転倒した人もいた。

 

 

 

<転倒場所の改善>

 

まずは、適切な位置に適切な手すりの設置が一番重要な対策である。

 

できることなら段差の解消、扉の開閉方法の変更等の改修を行うといい。