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脳梗塞と住宅改修

住宅改修の依頼の中で多くあるのが脳梗塞だ。

 

ケアマネからの連絡で、脳梗塞患者の住宅改修の依頼があった。

 

情報は脳梗塞のみ、マヒがどれくらいあるのか、右なのか左なのか全く不明。

 

 

 

木造2階建て築十数年、アプローチの外階段は長い、玄関周辺は広くはない。

 

対象者は脳梗塞をおこして、入退院を繰り返し、のちに廃用症候群となった。

 

現状は、特殊寝台を利用していて、特殊車いすで移動し、全介助に近い状態。

 

 

 

全介助が必要なこともあり、2階から1階に移り住むことになった。

 

1階の奥に居住スペースを確保することとなった。

 

そこの現状は廊下を真ん中に6畳寝室、単独の1畳トイレ、約3畳の浴室洗面が並んでいた。

 

介助を必要とする方には難しい使い勝手であった。そのことを説明した。

 

 

 

家族の理解があり、介護を考えたリフォームにすることになった。現状プランをおこした。

 

2階があるため、抜けると思われる柱に注意しながら新規プランを作成。

 

そこで廊下をなくして、掃出し窓のあるところに5畳位の寝室を配置し、

 

便所は広めに単独で設けた。浴室、洗面脱衣を一体で使えるような配置にした。

 

 

 

それと、時々通院するための外出の移動手段を考えないといけない。

 

長い外階段に階段昇降機を付けるか、車いすごと上下する昇降機を使用するのは非常に難しい。

 

介助を考えると、イスに移乗は難しい、昇降機は怖いとのこと。

 

建物周辺を見回したところ、寝室から直接、外へ出てたまたま他の道路へ行く方法があった。

 

そこへ、木製の渡り廊下のようなデッキを設置し、楽な外出が可能になった。

 

 

 

まずは、解体を開始。特に柱の撤去に問題はなかった。柱や梁のずれなどなかった。

 

筋交や補強金物や断熱材も建てた当初からの適切な施工となっていた。

 

しかし、湿気の多い地域で解体時、建物の裏側に当たるところにカビが見られた。

 

このかびが今後なるべく発生しにくい状態にセットし、土台・基礎の状態を確認した。

 

 

 

家族がインテリアに興味のある方だった。こちらとしても提案しがいがある。

 

浴室のバスタブは介護をすることも考えながら、ちょっと凝ったものを設置。

 

浴室タイルも壁にモザイクタイル、照明は家族が見つけてきたおしゃれなのも。

 

洗面台は実益ときれいさを備えた大きめの器の台とした。

 

寝室の内装は床に無垢のヒノキ節あり、腰壁には杉の荒板をちょっと加工したものを張り、

 

上部は漆喰で仕上げた。値段の高い材料ではないが、一風変わった仕上げになった。

 

トイレは寝室と同じ内装にした。粗相や汚物を流してやすいようにしびん洗浄水栓を設置。

 

家族にはリフォームに満足感があった。介護を中心に考えたリフォームなのに、

 

仕上がりがイメージとだいぶ違ったからだった。

 

 

 

外出の渡り廊下のようなデッキは古材の床板を敷き詰めることで、

 

これもまた昔からここにあったような感じで、雰囲気にマッチした状態になった。

 

引渡直後はごく普通に使用していた。

 

 

 

浴槽・便所等 TOTO製 洗面台は輸入物 杉の荒板は材木屋の一般的束材