ケアマネからパーキンソン病患者の住宅環境整備をしたいとのことで依頼があった。
最初に医療関係者に一般的な動きを聞いた。
普段建築の事だけを考えていると全くイメージができない。
訪問し、ある程度の要望と出来ること出来ないこと聞き、
まずは対象者に必要と思われる場所まで動いていただいた。
イメージできていない動作がよく分かった。
この住宅は横に広がるように部屋がつながる住宅だった。
そのため、居間、寝室、浴室、便所、廊下から各部屋へ移動が長い。
廊下の角を曲がるたびに、パーキンソン病によくある初動の一歩がでにくい歩き方が見られた。トイレでも浴室でも動きを補助する手すりは必要と思われた。
今までは、腰掛付きの四輪歩行器で室内を移動していたが、
歩行器では滑らないし、四輪では滑りすぎ。思うように動けないらしいです。
まずは、この住宅の平面図をおこして、手すりの位置を図面に落とした。
すり足のため、敷居の段差、室内の明らかな段差、扉の開き方など確認した。
引戸の部分にも工夫して、手すりを設置できるように説明した。
その図面をもとに、必要な部分や不要な部分を対象者とその家族に検討していただいた。
当初の計画通り、ほぼすべて横付け手すりを設置することになった。
その長さ約30m位。今までで最長とおもいます。この他に、浴室の手すり4本。
一般住宅でこの長さの手すりを付けることはそんなにない。工事は丸一日。
家族の協力や理解があり、ここの家はうまいこといったと思います。
手すり設置後は、1回だけ再訪問し、対象者の動きを確認できた。
初動は相変わらずでも、以前より動きが楽になったとのこと。
よく言われることですが、
「もっと早く手すりを付けておけばよかった」
「この手すりは昔からこの家に付いていたようだ」(家の環境にマッチしている)
この対象者は動きとしては教科書通りのパーキンソン病の方でした。
今回の手すり棒はシロクマの製品、金物は矢崎化工の製品、シロクマの製品の混在。
浴室の手すりはTOTO製品。