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シャイドレーガーと住宅改修

今までいろいろな病名は聞いたものの初めての難病でどうするのか全く不明状態!

 

そこで、まずは医療関係者に症状の一般的内容を聞き、

 

対象者が置かれている環境で何ができて、何ができなくて、

 

どのようにしたいのかを事細かく聞いていった。同じ病気でも個人差は大きい。

 

要望は数か月でもいいから、家族の一体感のある環境がほしいとのことでした。

 

(詳細は個人情報の為表示できないことをご了解ください)

 

 

 

与えられた条件(これが一番重要な内容)は

 

    余命数か月とのことで、少しの時間でも帰宅して介護したい。

 

    家族が最後までみんなで見守れる空間を作ること。

 

 

 

この住宅改修は短期決戦で、まずはすぐに現状プランをおこした。築20年、木造軸組み。

 

現状住宅は、部屋が個別に分かれ団らんが取れるような作りではなかった。

 

そこで住宅全体を見据えて、壁を取り払い、抜ける柱、そうでない柱を予測し、

 

十畳のリビングキッチンを中心に対象者の8畳寝室と浴室洗面所便所を

 

一体となった部屋として使えるようにプランを提案した。

 

開始からプラン決定、見積を提出までの期間は1週間。

 

1か月間の施工が始まった。

 

 

 

工事が始まり、不要な床壁天井を撤去したところ

 

過去の施工不良による梁のたわみがわかり修正、

 

もともと不足していた大量の金物追加補強、

 

外壁側の断熱材充填、筋交いの追加、

 

間取りの変更に伴う梁・柱の追加などなど、

 

改修過程でいろんなことが発生し、修正した。

 

この建物に必要な肝心な構造部分が完了して、

 

寝室からリビングキッチンの雰囲気を

 

うかがえるような開放性のある改修に取り掛かった。

 

 

 

対象者の筋力低下を念頭に、今後の介助する人の動作を予想し、

 

床のバリアフリーはもちろん、改修部分の扉はすべて引戸、

 

対象者の声とか体調変化が見えるような視線を確保、

 

福祉用具をどのように置くか、介助可能な最小限スペースのトイレ、

 

シャワーチェアーで入れる3連引戸のユニットバス、

 

キッチンや機器の種類選択、床壁天井の仕上がりや色の好みを家族に聞き、

 

これらを配慮しながら工事を進めていった。

 

今回、筋力低下が早いようで数本の手すりを設置のみ。

 

この他に収納スペースもできた。建築関係者ができるのはここまで。

 

 

 

完了後、家族が見守れる一家団欒の間取りが提供できた。

 

完成後すぐに、ベッドやイスなど福祉用具が搬入、対象者が退院帰宅した。

 

引渡後、状況確認することはできなかったが、

 

ケアマネの話では満足した環境で半年後、

 

家族に見守られながら亡くなられたそうです。

 

 

 

特化した住宅改修のように思われることが多いが、

 

あくまでも出来上がりは今どきの普通の住宅改修です。