借家住まいのリュウマチの女性。トイレは自力で利用したい。
リハビリ担当者の見解で関節になるべく負担をかけないようにトイレ改修を希望。
室内で車いすを利用しながら、足こぎで移動が可能な状態。若干の指の変形など見られるものの、
外見上は特にリュウマチとはわからない人。
現在の住居の便所は汽車便器で、対象者の今の状態でこれにしゃがんで用を足すのはかなり無理があるとのこと。借家のため、家主の承諾がなく洋便器に変更は無理。ビス穴位なら問題ないとのこと。
これから先が住宅改修の登場。
単に手すりだけで済むわけではない。どのように座り、どのように立ち上り、
どのようにして便所から出ていくのか?どこでどのような痛みがあり、
どれくらい動きが可能なのかを聞き出すために、まずは動きを見させていただいた。
そこで和便器の上に陶器製の便器を乗せること。関節に負担はあるものの便座に座れる状態を作れる。
これは絶対条件として説明した。
この段階で、対象者がどれくらいの便座補高が必要かをリハビリ担当者と話しして本人立会いのもと確認した。便所入口の前に手すり、立ち上がりの時に手すり、この対象者は手すりを握るまではいかないまでも
頼りにしている。この基本的な内容をリハビリ担当者とも確認。ここまではよくある話でもある。
この段階で困ったことに、用を足したあと、水を流す時に今までは正面にタンクのレバーがあったが、
便座を設置したため、タンクのレバーが背面になってしまった。
対象者はその場で立ち上がり、後ろを向いてレバーを動かすのは体全体の関節に負担が大きいとのこと。
これを解消したい。だけどリハビリ担当者はここで手も足も出ない。どうしていいことかとの事。
そこで水を流すレバーの先端に金物を固定し、鋼製ワイヤーを利用して、天井に滑車を取り付けて、
ワイヤーをぐるりと回し、立ち上がり手すりの脇に流すための輪を設置。
その輪を引くことでレバーが動き、水を流すことができる。
途中、ワイヤーの太さとかレバーの戻り具合とか重い軽いとか
ワイヤーが滑車から外れるはずれないなどさまざまな検討はあったけど、
座ったまま水を流すことができる便所にできた。
当初の希望通りの便所の改修はできた。